たまにフィルムカメラを持って出かけることがあるけれど、できあがった写真はディスプレーで見たいので、現像に出すとき一緒にデジタル化もお願いしています。新宿のヨドバシカメラではリバーサルフィルムの現像は確か1〜2日くらい。でも、その後のデジタル化に中三日ほど要するので、写真を見られるまで結局一週間以上かかってしまいます。

そこで、ペンタックス フィルムデュプリケーター(PENTAX FILM DUPLICATOR)を使ってみました。製品については八百富写真機店さんのサイトに詳細がレポートされているのでそちらに譲るとして、ここでは同じ写真(美ヶ原 美しの塔)を使ってデジタル化サービスと比べてみます。
比較したサービスは、2016年現在で新宿のお店で依頼できる以下の2つ。

HOT ALBUM DVD|ケイジェイ イメージング
料金:35mmリバーサル1シート700円
品質:JPEG約600万画素
注)現在「EZフォトDVD」というサービスに変更されている。

DVD-R StorageDisc | ヨドバシカメラ
料金:1シート目1008円、2シート目以降617円
品質:JPEG約1300万画素

まずは、HOT ALBUM DVD。画素数は最も低いものの、しっかりシャープ。空などノイズが少なく滑らかで綺麗。色合いはマゼンダに色かぶりする癖があるので、フィルムを見ながらLightroomなどで補正することが多いですが、この写真はそれほどでもなかったので手を加えていません。

HOT ALBUM DVD
HOT ALBUM DVD

こちらは、StorageDisc。色合いはイエローが弱い傾向。空はザラついておりJPEG劣化したようなノイズが目立つものの、解像度は非常に高いです。ディテールまでしっかりスキャンされています。

StorageDisc
StorageDisc

次に、フィルムデュプリケーターでのフィルムの撮影。
機材は以下のとおり。

PENTAX FILM DUPLICATOR|リコーイメージング
カメラ:PENTAX K-1
レンズ:smc PENTAX-D FA MACRO 100mmF2.8
フラッシュ:オートフラッシュ AF540FGZ II

フィルムのセットの仕方は、マウントかスリーブかによって異なります。
マウントの場合は、フィルムデュプリケーター付属のマウントホルダー35mmにマウントをセットして、ホルダーをフィルムデュプリケーター上部から差し込みます。

マウントホルダー35mm
マウントホルダー35mm
マウントホルダーをフィルムデュプリケーターに差し込む
マウントホルダーを差し込む

スリーブの場合は、別売のスリーブベースマウントとスリーブホルダー35㎜を使って、フィルムを挟むようにセットして、

スリーブベースマウントとスリーブホルダー35mm

全体を横から差し込みます。(左)
マクロレンズを付けたカメラを固定して、フラッシュケーブルを繋げば準備完了です。(右)

スリーブベースマウントを横から挿し込む
フラッシュケーブルを繋なぐ

ところで今回、K-1のリアル・レゾリューション・システム(RRS)で撮影しようと思ったのですが、フラッシュを使うとRRSをONにできないことに今さら気づいてしまいました。そこで、オートフラッシュに内蔵のLEDを点灯させて(フラッシュを発光させずに)撮影することに。でかいフラッシュを用意しながらLEDしか使わないとは何とも勿体無い話ですが仕方ない。ついでにLEDはカメラのシャッターと同期する必要がないので、フラッシュケーブルも不要になりました。

撮影データ:1/30 F5.6 ISO100 WB=太陽光 カスタムイメージ=ナチュラル
フラッシュ:LED 1/1

上がRRS-OFFで下がRRS-ON。いずれもJPEG撮って出しで一切補正をしていません。空が綺麗すぎることを除けば、色合いは元のフィルムに最も忠実です。(クリックで拡大:ファイルサイズ注意)

リアルレゾリューションOFF
リアルレゾリューションOFF
ファイルサイズ:17MB
リアルレゾリューションON
リアルレゾリューションON
ファイルサイズ:21MB

比較しやすくするために、中心部分を拡大したものを横に4つ並べてみます。
こうして拡大すると、緑の丘の質感などRRS-OFFとONとでかなりの差が出ています。RRS-OFFの解像感はHOT ALBUMに近く、RRS-ONの解像感はStorageDiscに近い感じ。また、RRS-ONの空のノイズは、StorageDiscよりもだいぶ少ないです。(クリックで拡大)

フィルムスキャンの比較

フィルムデュプリケーターは、仕上がりはコンシューマー向けデジタル化サービスに遜色無く(それ以上?)、納期や色調整の手間の少なさでは圧倒的に優れています。ただ価格は決して安くはないので、そこをどう見るかが問題でしょう。